相続法改正

こんにちは税理士の渡邊美弥子です。

令和元年7月1日に施行される民法改正から、遺留分、生前贈与等の整理をしてみたいと思います。

【遺留分侵害額の金銭債権化について】・・・遺留分権利者は、受遺者又は受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払い請求権が生じるようになります(金銭請求に一本化)。これは、遺留分減殺請求権の行使により、不動産等が共有状態になってしまい事業承継の障害となる問題が生じていたことからの改正となります。(令和元年7月1日施行)

【遺留分算定方法の見直し】・・・相続人が被相続人より生前贈与を受けた場合、相続開始前10年(相続人以外は1年)以内の生前贈与については遺留分算定の基礎に加えます。言いかえれば、10年を超えれば遺留分に加えないことになります。ただし当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってて贈与した場合は10年以上前であっても、その贈与分は遺留分算定基礎に加えます。「損害を加える」とは、例えば、父、母、長男、次男という構成で、父の贈与直前総財産が1億8千万円あったとして、長男に1億6千万円を贈与したら、次男の遺留分は、1億8千万円×1/2×1/2×1/2=2千2百50万円なので、この場合は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることに該当します。これは、贈与時に母親が存命で、父親の相続時点では母親が存在していなくても、贈与時点の状況で判定します。(令和元年7月1日施行)

【特別受益の持戻し】・・・遺言書がない場合は、遺産分割することになりますが、この場合は何年前の生前贈与であっても期間制限なしで特別受益の持戻しとなります。

 ちなみに令和元年7月1日から持戻し免除の推定規定が施行されます。内容は、婚姻期間20年以上の夫婦の一方が他方にその居住用建物又はその敷地を遺贈又は贈与したときは特別受益の持戻し免除の意思を表示したものと推定するという事です。これは夫婦の財産は2人の協力によって形成されたものであるから夫婦間においては贈与という認識は薄いということ、配偶者の老後の生活保障を意図して贈与される場合が多いということが背景にあります。

【民法と税法】・・・相続税の計算においては、相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産に加算して相続税の計算をします。ただしそれに課された贈与税については相続税額から控除されます。相続時精算課税についてはもちろん期間制限なしで加算されます。民法については、相続時の価額で計算しますが、相続税の計算においては贈与時の価額で計算します。

 ただし、贈与税の配偶者控除の特例を受けている財産のうちその配偶者控除額に相当する金額、直系尊属から贈与を受けた住宅取得資金のうち非課税の適用を受けた金額、直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち非課税の適用を受けた金額、直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち非課税の適用を受けた金額については、相続税の課税価額に加算されません。

 また相続が開始した場合に相続人となるであろう推定相続人以外への贈与は、3年以内の加算贈与になりません。被相続人から見た孫や子の配偶者は相続とは関係ないから対象外となります。ただし、推定相続人以外の者が遺言によって財産を遺贈された場合には、相続開始前3年以内の贈与を受けたならば、その贈与財産は相続税の課税価額に加算します。

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