「交渉学の視点からから考える税務調査」の研修を受けてきました

こんにちは、人形町税理士の渡邊美弥子です。

一昨日の夜、東京税理士会日本税務会計学会の研修を受講してきました。
研修内容は、交渉学の視点から考える税務調査におけるコミュニケーションでした。

興味深かったのは、人間の思考回路には、自動思考と論理的思考があり、日常生活の大半は自動思考で過ごしているという講義内容のところでした。

自動思考とは直感や印象で行動を決定し脳負担が小さく、論理的思考とは段階を追って物事を考え脳負担が大きいとの事です。(Daniel Kahneman研究)

「今後の良いお付き合い」などの決まり文句を言われて思考停止に陥ったり、「急いでいるのでコピー取らせて」と言われ断りにくく簡単に納得してしまったり、相手が高圧的な態度なので機嫌をとるように譲歩してしまったり、相手の曖昧な言葉に頼ってしまい自分に都合が良いように解釈してしまったり

・・・・誰しもがそういう経験はあると思いますが、これらは論理的思考から離脱してしまう状態だそうです。

 

講義の中で、『二分法の罠』、『アンカリング』という言葉が出てきました。

『二分法の罠』とは相手の要求に応じるか否かの選択肢しかない状況で、どちらを選んでも自分の不利に陥ること、『アンカリング』とは最初に提示された数値や情報が印象に残りそれが基準点になりその後の判断に影響される心理現象をいうそうです。

「価格は見積りから15%値引きしてください。」「15%!それは・・・・じゃ5%値引きでお願いします。」「いやいや、もっと頑張ってください。御社とは今後とも良い付き合いを考えていますのでお願いしますよ。」

・・・という会話の例示がありました。

『二分法の罠』や『アンカリング』の対処法は、次の通りとの事です。

・すぐに答えないで理由や根拠を求める。
・話題を転換する。
・相手からの二分法には決して乗らないと決めておく。
・目標金額等(基準点)をあらかじめ定めておくなど事前準備をしておく。
・はぐらかして、まともに答えない。

相手が理不尽な要求をしてくると、相手を悪者にしようとする心理傾向が働き判断ミスや関係のこじれにつながる可能性があるとの事です。
この場合は、相手の表面的な態度ではなく行動・発言に着目し感情的な判断や関係のこじれを防ぐことが大事との事でした。

以上のことは交渉におけるポイントの一部分です。

この研修は税務調査におけるコミュニケーションが主題だったのですが、今紹介した箇所は私たちが日常生活(例えば「お小遣い上げてよ」などの家族の会話や、職場での会話など)でもよく見受けられる場面で無意識に行っていることだと思いました。

私たちは生まれて親子の関係から始まり、家族、学校、部活、サークル、会社とそれぞれの人間関係や社会の中で生きてきました。
その社会の中で自分がより良い人間関係を構築する術を無意識に習得してきていると思います。

『交渉』とは、共通する利害と対立する利害があるときに、合意に達するために行う相互コミュニケーションをいい、人間社会の中で生きていくために必要な術の一つと思います。

とても興味深く勉強になりました。研修の主点は税務調査でしたので今後の役に立つと思いました。

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