経営改善シリーズ⑧売掛債権の管理
前回、経営改善シリーズ⑦で運転資本の管理について触れました。今回は売掛債権についてもう少し深堀してみましょう。
売掛債権は、眠らせても太らせてもいけません。
売掛債権が増加する要因は・・・
①事業規模の拡大
②季節的要因
③回収期間の長期化
④不良債権の発生・・・etc.
①②については、営業上必要な増加要因ですが、③回収期間の長期化 ④不良債権の発生については、資金を眠らせてしまうので、③④は抑えるように努めなければなりません。
資金繰りの観点から売掛債権の回収期間は短い方が良いです。しかし、よほど競争力のある製品や安価な商品でない限り回収期間の延長はやむを得ないこともありますよね。
仕入先への支払い条件は従来通りであるにもかかわらず売掛債権が増加した場合、その分資金不足となってしまいます。
そのようなリスクに備えるためには売掛債権回転期間の管理を行うことが肝となります。
売掛債権回転期間は、売上高の何か月分の売掛債権を持っているか、または売掛債権を何か月で回収しているかを表します。
売掛債権回転期間=売掛債権/月平均売上高
式で表すとこのようになります。
例えば、売掛債権の決済条件が月末締めで翌月25日に90日サイトの手形(2026年で全面的な電子化)を受け取るものであれば・・・・
1か月平均日数を30日として、30日(月初めに売掛債権が発生することもあるので)+25日+90日=145日
145日÷30≒4.8か月となります。
計算式で求めた売掛債権回転期間が4.8か月よりも長ければ滞留債権があることになります。
売掛債権回転期間を確認する場合、割引手形等がある場合はそれも含めます。なぜならば、割引手形等が不渡りになれば手形遡及義務が生じるからであり、これらを含めなければ得意先に対する債権の実態が分からなくなってしまうからです。
売掛債権の回収方法がずさんだと、回収期間が長期化し、得意先の倒産により売掛債権が焦付き、滞留債権が生じてしまうということもあるのです。
月次で得意先、製品別の売上高や粗利益を求めるだけでは足りません。売掛債権にも注視してください。
収益性と資金繰りは両睨みが不可欠です。
月次管理資料は、製品別、得意先別の利益管理と製品別、得意先別の回転期間の管理をセットにしましょう。
次回は棚卸資産の回転期間について見ていきたいと思います。
8月下旬から毎晩鈴虫の音色に癒されています。毎年晩夏から秋の夜は鈴虫の音色と共に過ごしています。幸せ😊感謝😊
おやすみなさい☆
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