明日の税理士会を担う人材の育成制度(A-Zセミナー8th)「租税訴訟」

こんにちは、税理士の渡邊美弥子です。

A-Zセミナー第6回は、「租税訴訟」でした。

この研修の目的は、税務代理人として租税争訟に臨む際に必要不可欠となる知識の習得でした。

税務調査のほとんどが和解的な修正申告で決着していますが、修正申告で決着すべきでない場合には、再調査の請求や審査請求や取消訴訟と流れていきます。

それぞれの救済手続のメリット・デメリットや流れを、

そして税務訴訟における技法を学びました。

 

この技法を学ぶ中で、次のことは、日常業務の中でも常に重要と思いました。

 

租税法律主義(憲法84条)がスタートラインとなり、租税法規の適用課程が示されました。

①大前提:条文から課税要件の具体的な内容を確定→②小前提:証拠から課税要件に該当する具体的事実のあてはめ(課税要件事実の認定)→③結果:法適用の結果(規定から法律効果を確定)

法的三段論法ですね。大前提たる法規と小前提たる具体的事実から法の適用に関する結果を導き出すということですね。

課税要件事実の認定において重要となるのは証拠となります。

納税者が経済活動の中で契約書等を作成(第1次的証拠)→納税者が会計処理の基準に照らし証拠を評価し第2次的証拠を作成→納税者が証拠に基づき事実を認定し税法に基づき税額を確定する

これは、我々税理士が日常業務で行っていることです。

 

ポイントは、各取引段階で取引の証拠となる証書(契約書、議事録など)を作成することです。

契約書を作成することの意義は、形式を意識することで実態が整うということです。

契約当事者が署名、押印した契約書は、証書の中でも強力な証拠となります。

ここで証書の真正における「二段の推定」という言葉が出てきました。

1.私文書に本人の印鑑による押印があるときは、本人の意思に基づき押印されたものであると事実上推定される(1段目の推定)

2.民事訴訟法第228条第4項により、私文書に本人の押印があるときは、「押印が本人の意思に基づいているとき」と解釈されて、文書の真正が法律上推定される(2段目の推定)

 

民事訴訟法第228条第4項 : 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

 

・・・・ちなみに私文書が偽造されたものだと主張する側は、二段の推定を覆す事実を立証することになります。

◆一段目の推定を覆す

・印鑑を他の者と供用していた

・印鑑の紛失、盗難、盗用

・印鑑が悪用された

等の事実を立証します。

◆二段目の推定を覆す

・白紙に署名又は押印したものを他人が悪用して文書作成

・文書作成後の改ざん

・他の書類と思いこませて署名又は押印させる

等の事実を立証することになります。

 

これらを立証することは容易でないことから、契約書を作成し、形式、外形を整えることは重要とのことです。

そして誰が読んでも同じ解釈である文書を作成することがポイントとなります。

 

証書がないところでやむを得ず作成するのが人証となりますが、税務調査で作成される聴取書もそれにあたります。

税務調査で作成される聴取書については、誤った内容で誘導されないように注意するとのことでした。

記憶があいまいなものについては、記憶がないと言い切ること。

調書の内容が回答内容と違っているときは妥協しないで訂正を求めることが重要とのことです。

聴取対象者は、心理的な圧迫を感じ、誤った内容で誘導されないように、代理人による対応は重要とのことです。

 

グループワークはいつものように事案が出され、それぞれの事案につき、事実についての法的位置付け、証拠について事実との対応関係を明確にし、課税当局とどのように争うかというプレゼンが行われました。

やはり実務家集団!!

すごいです!!

 

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